インターバル中の姿勢
川村 大輔(平成17年度・卒業論文最優秀賞/硬式野球部)

<序論>
 私達の学校では、多くの生徒がクラブ活動を行い、そのほとんどには苦しいインターバルトレーニングが伴います。そのインターバルトレーニングをいかに乗り切るかがクラブ活動をしているうちのひとつの課題だったといえます。
 みなさんはそのインターバルの際に、「ひざに手をつくな」などと聞いたことはありませんか。私はこの言葉を聞くたびに疑問を感じていました。膝に手つくと少しは楽に感じるはずです。しかし、そうすることによって回復が遅くなるということを耳にしたこともあります。これは本当でしょうか?また、どのような姿勢でインターバルをとれば回復が早いのかと考え、そのことについて調べてみることにしました。



<本論>

インターバルトレーニングとは?

 インターバルとは時間、または場所的な間隔という意味です。あらかじめ定められた距離を、ある一定の時間的サイクルに従って何度も繰りかえす練習方法です。練習のときにはこの時間の間隔が休憩となります。つまりこの休憩の間にいかに回復できるかがトレーニングを乗り切るためには重要となってきます。トレーニングの際、その運動にともなって急激に高まる代謝に見合う酸素をいかにスムーズに運搬するかが重要になります。すなわち、酸素摂取量、心拍出量(1分間に左心室から送り出される血液量)が増大します。つまり、より多くの血液を必要とするために心拍数が上がります。そこで、インターバルトレーニングの場合の回復は心拍数と深く結びついてると考え、ダッシュを行ったあと、立ったまま休憩をとったときと、ひざに手をついて休憩したときとではどれほど心拍数の上下に差があるのかを調べました。


【実験】 
  @平常時の心拍数を測る。
  A100メートルダッシュをした直後の心拍数を測る。
  B心拍数が平常時近くまで戻ってからもう一度同じ距離のダッシュを行い、
    1分間たったまま休憩し、どれくらい心拍数がもとに戻るかを測定する。
  CBと同じ要領でダッシュを行い、次はひざに手をついた状態で1分間休憩をして、
    どれくらい心拍数がもとに戻るかを調べてBと比較する。

 結果、このようになりました。

野球部1年生
(拍/min)
野球部1年生
(拍/min)
野球部1年生
(拍/min)
野球部3年生
(拍/min)
野球部3年生
(拍/min)
平常時 56 70 80 56 68
ダッシュ後 168 156 164 168 152
1分後(立ったまま) 108 120 120 88 96
1分後(膝に手を) 104 132 148 120 120

実験の結果、全員、ダッシュ後には150以上まで上がった心拍数が、

   たったまま休憩したときは心拍数数が大幅に下がったのに対して
   ひざに手をついた状態で休憩した場合は、心拍数がほとんど下がらなかった


という結果になりました。



【考察】
実際の実験の結果から、この2つの姿勢による心拍数の差は呼吸器に原因があると考えました。

呼吸器とは?
 呼吸器とは、空気中の酸素を取り入れ体内の二酸化炭素を排泄する大切な働きをしています。そして口腔、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺(肺胞)からなっています。(図1、2)呼吸とは、体外から空気を取り入れて細胞内のガスを外気に排出するための繰り返し運動です。

  


つまり、インターバルトレーニングだけでなく、スポーツ全般において重要な役割を果たしてると言えます。普段、わたしたちはほとんどの場合立った状態、または座った状態で呼吸をしています。このときの呼吸器の位置は図1のようになり喉頭から肺に向かう空気の通り道が比較的直線的になります。つまり図1のような状態に気管が位置してるときが最も呼吸がしやすいと言えます。したがってインターバルトレーニングの休憩の際も図1のように気管の位置を保つことがより早い回復につながるので立った状態で休憩することが望ましいです。一方で、ひざに手をついて休憩した場合は、想像してもらえればわかるように呼吸器の位置は図1とは大きく異なり、空気の通り道は直線ではなく、大きな曲線をえがくことになります。これでは図1のように気管の位置が保たれる立った状態と比べて、呼吸がしにくいと言えます。


なぜひざに手をつくと楽にかんじるのか?
平常時、立ったままの姿勢は一見なんの力も使ってないように見えますが、長時間立ったままだと疲れてくることを考えればわかるように、実は体を支えるために腹筋などの筋肉を意外とつかっています。それがダッシュで大幅に体力を使ったときに表面化し、ひざに手をつくと楽だと感じるのです。しかし、実際は、スムーズな酸素の運搬ができず次の1本のダッシュ、次のメニューは苦しいものとなります。




<結論>

 実験、考察の結果、やはりインターバル中の姿勢はひざに手をつくより立ったままでいるほうが良いということがわかりました。ひざに手をつくと楽だと思っていても実際はそうではありませんでした。ひざに手をつくと楽だという先入観を捨て自分に勝って立ったままでいることが自分の成長へとつながります。この結果をこの先のクラブ活動などにも役立てたいです。


○参考文献○ 
【循環 運動時の酸素運搬システム調節】



注意:本ページで公開している論文は、本校の卒業生(当時3年生)が作成した卒業論文です。
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