目とスポーツ
池本 朋世(平成17年度・卒業論文優秀賞/硬式テニス部)

<序論>
 スポーツ(特に球技)は「良い眼」が必要だと言われています。私自身、硬式テニスという球技のクラブに所属しているので「良い眼」が必要だと思うことはたくさんありました。そこで「良い眼」になるためにどのようなトレーニングをすればよいか、そしてどのような眼が「良い眼」と言われているのかということを調べ、少しでも競技力の向上につながればと思い、眼とスポーツの関係(スポーツビジョン)について調べることにしました。

<本論>


[1] 「良い眼」とは?
 一般的に良い眼と言われれば“健康診断で測定する視力(静止視力)が良いこと”と考えると思います。
 しかしスポーツ選手にとっての眼の良さは静止視力だけでは決まりません。

  KVA動体視力(動いてくるものを見る視力)
  DVA動体視力(横に動くものを見る視力)
  眼球運動
  瞬間視
  周辺視野
  深視力(距離感が正確なこと)
  コントラスト感度(明るさの微妙な違いを識別する能力)
  眼と手の協応動作(眼で見たものに素早く反応できること)


などの能力の高さで判断します。その能力が高ければ「洞察力」や「判断力」が良いということであり、スポーツでの「良い眼」ということになるわけです。そして、それらのスポーツに必要な視覚能力の総称を「スポーツビジョン」といいます。



[2] スポーツビジョン
 スポーツビジョンで特に重要な能力は、動体視力・眼球運動・瞬間視・周辺視野の4項目だと言われています。ですからその4項目に重点をおいて、どういう能力なのか調べました。

 (1) 動体視力
   眼で高速移動するものを追ったときに、常にはっきりと目標物を見ることができる能力です。
   目標物を視野の中心でとらえられるよう、目標物のスピード、方向に合わせて眼を追わせる
   ときに必要となります。動体視力には、動いてくるものを見るKVA(Kinetic Visual Acuity)
   動体視力と、横に動くものを見るDVA(Dynamic Visual Acuity)動体視力があります。
   野球の打撃・捕球動作、テニスのサーブ・レシーブ、卓球のラリーなどは、眼の前を高速移動
   するボールのコースや回転などを把握し、適切な反応動作を行うのに、動体視力が重要な
   役割を果たしています。

 (2) 眼球運動
   見ようとするものに眼をすばやく正確に動かし、ものの状態を見ることができる能力です。
   動体視力と異なるのは、視線をあちこちに断続的に切り換える跳躍運動があるということです。
   バスケットボール・サッカーのディフェンス・オフェンス全般、テニスの各種ストローク、野球の
   野手、走者の動きを見ながらの打撃、野手の捕球動作などで、眼球運動が使われています。

 (3)瞬間視
   移動または静止する目標物が持つ多くの情報を、一瞬にして把握する能力です。
   瞬間視が良い人は一瞬の映像でより多くの情報をつかむことができます。サッカーではスルー
   パスやセンタリングの直前に味方と敵のポジションを見る時、テニスではサーブ、レシーブを行う
   直前やネットにダッシュする直前、バスケットボールではアシストパスを出す前に味方と相手の
   ポジションを見る時などに重要な役割を果たしています。

 (4)周辺視野
   移動または静止する目標物を見ると同時に、周りの状況も眼の端で捉える能力です。
   緊張している時には、周りへの意識が低くなり、視野が狭くなる傾向があります。広い範囲を
   注意して見たい時には、1点を凝視するのではなく、全体を眺めるように見ることが大切です。
   バレーボールのサーブやスパイク、テニスのボレーやスマッシュ、バスケットボールのセット
   シュートなどで周辺視野を使っています。



[3]種目別スポーツビジョンの重要性
競技種目別 視機能重要度スコア表
. 静止視力 動体視力 眼球運動 瞬間視 周辺視野
野球(打撃)
野球(投手)
バスケットボール
テニス
サッカー
水泳
ランニング
          ※スコアは1から5になるに従って重要度は増します。
               スコア表によると、テニスや野球(打撃)は全ての項目において高スコアで高い
               運動視機能が要求されます。バレーボールやハンドボールは上の表に載って
               いませんが、必要とされる視機能はほとんどバスケと同じです。



[4]ビジョントレーニング方法
 [2]で紹介した4つの項目の簡単にできるトレーニング方法を紹介します。
 簡単にできるので一日15分程度をできるだけ毎日続けることが重要です。

 (1)動体視力
    ■KVA動体視力:車に乗った時に前から近づいてくる「車のナンバー」や道路の「看板の
     文字」を素早く読み取る。
    ■DVA動体視力:DVAトレーニングで有名なのは、「車窓から看板や駅名を見る」という
     トレーニングです。他にも、文字や数字を書いたボールをひもで天井からつるし、左右
     に振って読み取るというトレーニングがあります。
 (2)眼球運動
    @カレンダーの数字を読む:1→30、2→29、3→28というようにカレンダーの数字を眼
      で追い、声に出して素早く読んでいく。
    A左右の親指の爪を見る:親指を立て、頭を動かさずに爪の先を交互に見る。左右の幅を
      広げたり、上下、斜めにしたり、いろいろ工夫します。
 (3) 瞬間視
    @誌面の情報を瞬時に把握:新聞や雑誌を瞬間的に開いて何が書いてあったか、どんな
      写真だったかを思い出すようにする。
    Aスライドで状況判断トレーニング:スポーツの場面を撮ったスライドを瞬間的に見せて、
      どこにパスをすれば良いか、どこに打てば良いか、などを瞬時に判断する。
 (4)周辺視野
    @親指を中心に周辺視:テレビを見るときに親指を突き出し、視線は爪に置いたまま、周辺
      視でテレビを見る。
    A左右のボールをキャッチ:左右に広げた手にそれぞれボールを持ち、同時に上に投げキャ
      ッチする。

[5]利き眼
 (1)私たちには利き手・利き足があるように利き眼があります。自分の利き眼を知っている人は
    少ないと思います。しかし、スポーツの中には利き眼によって不利・有利が生じる競技があ
    るので利き眼を知っておく必要があります。
    利き眼の調べ方:まず人差し指で室内の時計など適当なものを指します。このとき顔を傾けず
    に腕はまっすぐ伸ばし、顔の正面に人差し指をもってきます。両眼を開いたまま、指を時計に
    合わし、そのままの姿勢で片眼を閉じます。もし、右眼で見て、両眼で見た場合とズレがない
    なら、右眼が利き眼です。逆の場合、左が利き眼になります。簡単に言ってしまうと望遠鏡を
    見るときに覗くほうの眼が利き眼です。
 (2)球技では両眼で見るため、利き眼の違いで不利・有利はないと言われています。
    利き眼が関係するスポーツは射撃です。標的に向かって半身になって構えるので、利き手と
    利き眼が逆になってしまうと的をねらう時に、利き眼ではない方の眼で見ないといけないので
    不利になってしまいます。


<結論>

 スポーツビジョンのことを調べて、競技力の向上のためにはとても眼が重要だということがわかりました。特にテニスは高い能力の視機能を要求されているのに、今まで一度もスポーツビジョントレーニングをしたことがなかったので、もっと「眼」を重要視するべきだと思いました。これからもなんらかの形でテニスを続けたいと思っているので、ビジョントレーニングを活用して競技力の向上を目指したいと思います。


○参考文献○ 
【ボールが止まって見える!】 石垣 尚男 著
【スポーツビジョン】 スポーツビジョン研究会

○参考ホームページ○
Sunward Webshop


注意:本ページで公開している論文は、本校の卒業生(当時3年生)が作成した卒業論文です。
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