![]() 高橋 良太 (スポーツ健康科学科/野球部) |
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<序論> 以前、専攻実技の特別講座で、二軸動作についての講義を受けました。その時に二軸動作について少し理解する事ができ興味を抱くようになりました。陸上部の友人が言うには「二軸という動作は感覚的なもので明確な定義はなく、自分のなかで動きやすいと感じれば、それは二軸ということになる。」と言っていました。つまりどこまでが二軸動作で、どこまでが二軸動作で無いというようなものではないというのです。僕も講義を受けて、実際に動いてみてそのように感じました。そこで、自分が二軸と感じる動作とそうでない動作では疲労度がどのくらい違うのか、という事を心拍数の値によって調べてみようと思いました。 <本論> 僕は、歩いたり走ったりする動作の中で二軸感覚を持つようにするには、つま先を外に向け、すり足で歩いたり走ったりする感覚がとても動きやすかったです。上半身についてはあまり意識することはなく、変な表現ですが背筋を伸ばして前のめりになると次の足が出やすいように感じました。 この感覚は人それぞれで、口で説明するのは難しいそうです。10人いたら10通りの感覚があり、体のどこをどのように意識して動かすということは個人で異なっていて、1人の人でもその日のコンディションによって体の使い方の意識する部位は変わってくると思います。 今回、中心軸と二軸での体の疲労度を測ってみて、どれくらい両方の間に差があるのかを調べてみようと思いました。 中心軸と二軸と言っても、はっきりとした定義は無く、今回は、以前の二軸の特別講座での講義の内容を参考にして、僕が二軸と感じた走り方とそうでない走り方で比較をしました。非常に抽象的な感じがしますが、自分の中の感覚の部分が大きいと思うので、明確な定義付けは出来ませんでした。 僕の感覚で走りやすいと感じる時は端的に言うと「がに股で走ること」です。講座の時の(小田)先生の話の中にも、外旋させる事によってブレーキをかけないで、重力を上手く使えるように、と言うような話がありました。そしてもうひとつ意識していることは 「肩の真下に足を下ろしてくる」と言う事です。なぜそれで走りやすいのか上手く言葉で表すことは出来ないのですが、陸上部の友人が言うには、「そうすることによって自然に外旋されて、走りやすくなっているのかも知れない。」と助言からです。一流選手の中で二軸を行えている人も、意識して行っているのではなく感覚的に行っているのだと思います。 逆に走りにくいと感じる走り方は、「内股で走る」ことです。内股と言うと少し極端ですが、違う言い方をすると、「頭の真下に左右の足を下ろしてくる」という感覚です。この走り方で意識している事はキレイなフォームで走るという事です。一本のラインの上をはしる事を意識していればキレイなフォームになって、練習を重ねることによって、足が速くなっていくものだと思っていました。 今回の実験は運動生理学の分野を取り入れる為に、両方の走り方での脈拍数を計り、体の使い方と疲労度という観点から調べました。 <実験> 1)ウォーミングアップをする。 2)トレッドミルを利用し、時速12km/hの速度で500mの距離を走る。 3)運動前と運動後の脈拍数を計り、その上昇倍率を、中心軸と二軸で比較する。 |
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<実験結果>
*上昇倍率の数字…運動前後の脈拍数の上昇倍率 |
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| <考察> この実験の結果、個人間で多少の差はありましたが、全体的に見ると二軸で走った時の方が脈拍数の上昇率は低くなりました。そして、上昇率が低くなった人は大きく下がりましたが、ほとんど変わらない人も出てきました。 僕の考えでは、感覚をつかめた人は体にかかる負担を二軸によって、軽減出来たのだと思いますが、感覚をつかめてない人、上昇率が下がらなかった人は、体にかかる負担が強いままでの運動になったのだと思います。 今回は感覚的な部分が多い実験でしたが、走り方の意識の違い一つで脈の上昇率が変わる可能性があるので、毎日の練習の中で体の感覚の違いを確かめながら、ちょっとした変化を見逃さないようにすることが大事であると思います。 また、上昇率が高かった人と低かった人の差は大きくなりましたが、その中間の上昇率が少しだけ上がった、という人は今回の実験ではいませんでした。これはやはり体の使い方が大事で、感覚で楽に走る方法をつかめた人の疲労度は低く、自分の感覚と体の使い方が一致しなかった人は、疲労度が両者の走り方であまり変わらないという結果になりました。やはり口で自分の感覚を説明する事は難しく、しかし科学的に説明する事ができてもそれを実際に動作によって実現することも、困難なことであると思います。 また、競技者別に動作の効率性を考えてみても、陸上競技者がいつも効率的に走れているとは限らないと思います。また、ダラダラ動いているように見えても効率的に動けている競技者もなかにはいると思います。大事なのは固定観念を捨てることです。 <結論> 人間、疲れてくると自然に二軸になってくるものだと思います。それは二軸が一番理想的な体の使い方であって、体をそう動かさないと自分が辛いから疲れにくい走り方に、本能的になっていくのだと思います。 幼児も高齢者も、二軸で膝を抜いて歩いているらしいです。それは本能的なもので一番、理にかなった動作なので自然とそうなっているのです。「キレイに走る」というのはきっと後天的価値なんだと思います。僕の中にも、小さいころから「O脚は疲れやすい。」とか母子球で地面を蹴る。」という考え方があったので、無理にそうしようとしていました。その考え方を取り除くと、二軸動作は誰でも出来るものなんだと思います。なぜなら、人間は本来、二軸動作を出来るのにそれを「キレイに走る」、という考えのもと押さえ込んでいるだけであって、もともとみんなが持っているものなので、それを引き出すことは可能なことであると思います。 今回は走る動作と脈拍数について調べましたが、体の使い方の上手い人はどのような動作であれ、乳酸値の上昇率などでも抑えることができると思います。脈拍数は体の各器官に、栄養や有機物を運ぶ必要があると上昇します。なぜ運動する事によって脈拍数が上がるのかというと、体の中のエネルギーが必要以上に使われ、O2による有機物の運搬やCO2による老廃物の除去が行われるからです。その際に血液中にグリコーゲンがグルカゴンやチロキシンなどの、交感神経系の分泌物の働きによってグルコースに分解されたり、副腎皮質の糖質コルチコイドの働きによって、タンパク質の糖化が促進されたりして、運動中の体の各器官の調整が行われます。脈拍数の上昇を、同じ強度の運動で抑えることができれば、より長時間、強い運動をすることが可能になってくると考えられます。その為にもやはり、全ての動作を筋肉の力だけに頼るのではなく、重力や並進運動の力を上手くつかい、エネルギーロスを少なくしていく事が大事であると思います。体の各器官の代謝や合成などの、仕組みは複雑で交感神経系が興奮を起こしたからといっても、必ずしも体が自分の思い通りに動くとは限りません。脈拍数も同じで、体の状態を確認することのできる大事な指針の一つです。ATPの消費を最小限に抑える方法の一つとして、筋肉量や心配機能以外の運動動作、フォームという事に着目すれば、それが結果として、脈拍数の低下につながるという事を考える事も、大事な事だと思います。 僕はクラブ活動で疲れている時、自然とがに股になっていました。しかし、その動作は楽だったので、自分の為にならないと思い、無理して内に絞ってキレイに走ろうとしていました。しかし、今考えればあのがに股の動作は、理にかなっていたのかもしれません。 プロのスポーツ選手の動作を真似るように「かっこいい動作」は理にかなった動作だと思っていたので、キレイに走ることを考えていました。その考え方が自分の動きを悪くしていたのだと思います。 運動動作は非常に複雑なものなので、日々の練習の中で意識して自分に合った理想のフォームを探していく事が大事であると考えます。 <参考文献> 専攻実技の二軸の特別講座の時の冊子 |
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【担当者から】 運動生理学からニ軸動作を考察しようという試みに大変感激しました。我々(哲ちゃん幸ちゃん)もこれから研究しようと思っている分野だけに、生徒からこのような発想が出たことに喜びを感じています。実験の内容としては、もちろん問題点も多くありますが、高校生のレポートとしては十分(いや十分過ぎるくらい)であると考えます。彼はニ軸動作に興味を持ち、私の指導する陸上競技部の伊東君とよくディスカッションしているようです。彼らの発想は本当に豊かで、これからの彼らのニ軸研究に期待したいと思っています。高橋君は野球が専門なので、是非、野球をニ軸理論で指導する指導者になってもらいたいと思っています。(山本) ちなみに哲ちゃん幸ちゃんは、今後、呼気ガス分析や血中乳酸濃度を測定しながら、ニ軸動作と中心軸動作を比較したいと考えています。 |
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| 注意:本ページで公開しているレポートは、本校で運動生理学を受講している生徒が作成したものです。 掲載にあたり、本人の了承を得ています。また、本ページ作成者が若干の更正を行っています。 無断転写等はご遠慮下さい。ご質問等あれば、掲示板にてお願いいたします。 Copyright (C) Koji Yamamoto 2003-2005 All Rights Reserved. |
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