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桜スポーツ新聞・コラム 平成16年 7月20日・発行
大阪市立桜宮高等学校
トレーニング研究部
『ニ軸動作』への挑戦!
                          桜宮高校 トレーニング研究部顧問   山本 幸治
 
 
回(第2号)の桜スポでも少し触れましたが、今、私が一番興味をもっているのは、スポーツ・パフォーマンスにおける『ニ軸動作』です。『ニ軸』とは、左右の股関節からそれぞれ左右の肩甲骨へ伸びるラインを想像してみてください。おおよそそれが『ニ軸』です。陸上競技を約10年、特に棒高跳を専門として取り組んできた私は、体の軸を背骨あたりに一本おき、『中心軸』感覚で走っていました。
 ところが最近、『いかに速く走るか』を追及していくうちに、『中心軸動作』よりも『ニ軸動作』の方が、エネルギー消費を抑え、効率的な動作になることがわかってきました。今までの動作とまったく逆の感覚です。

 
ちろん、陸上競技だけではありません。あらゆるスポーツ種目のトップアスリート達に『ニ軸動作』でのプレーが確認されました。
 例えば、メジャーリーグで活躍しているシアトルマリナーズのイチロー選手。彼の盗塁時のスタート動作は、まさに『ニ軸動作』です。彼はバッティングフォーム、送球ホームにおいても『ニ軸動作』が確認され、野球界では手本となる『ニ軸選手』のひとりといえます。
 また2002年、セリーグにおいて首位打者を獲得した福留選手(中日ドラゴンズ)。彼もまた、2001年の『中心軸打法』から2002年の『ニ軸打法』への改造で成功した選手といえます。(福留選手が『ニ軸打法』を意識したかどうかはわかりません)
 陸上競技ではパリの世界選手権において、銅メダルを獲得した末續(すえつぐ)選手。彼も走りの中に『ニ軸動作』的な走法を取り入れています(インタビューでは『なんば的な走り』と答えていました)。黒人選手に混ざっての短距離種目入賞は快挙といえます。
 その他、サッカー選手、バスケットボール選手、バレーボール選手などにも『ニ軸動作』でプレーする選手が確認され、活躍している選手が多くいます。

 
は、どうすれば『ニ軸動作』を自分のものにできるのでしょうか。これは非常に大切なことであり、私自身もいまだ勉強中で、我が陸上競技部(陸上競技部の顧問をしています)も試行錯誤しているところです。ただ、今いえることは、次のようなことです。
 まずひとつは、
『股関節を外旋させる』ことです。それと同時に『肩関節の外旋』も意識すると、二軸の感覚が掴めやすいということもわかっています。この股関節、肩関節の外旋については、説明すると長くなるのでここでは控えます。しかし、『ニ軸動作』を意識する場合は、このことをまず踏まえなければなりません。
 二つ目は、地面と接地している脚の足裏感覚です。
 ここでちょっと皆さんに聞いてみたいと思います。速く歩くとき、速く走るときに皆さんはどのようなことを意識していますか?例えば、速く走るために体を前へ進めなくてはならない。そのようなことを考えたとき、地面を蹴っていませんか。速く走るために拇指球で地面を蹴っていませんか。実は、拇指球で地面を蹴る動作というのは、残念ながら『中心軸動作』なのです。『ニ軸動作』は地面を蹴りません。地面と接地している足裏は、
『踵から小指側の外側(外エッジ)を意識』します。
 では、どうやって前や左右へ移動するのか。それは3つ目の
『膝を抜く』感覚を身につけることです。言い換えると、自分の身体を『重力落下』させること。これも説明すると難しくなるのでここでは書かず、またの機会に説明したいと思います。
 ということで、このような3つの感覚を身につければ、『ニ軸動作』の第一歩を踏み出せるということがわかってきました。

 
上競技部では、最近『常歩(なみあし)』という走歩行に取り組んでいます。最近の世の中では、末續選手のインタビューから『なんば走り』がクローズアップされていますが、『常歩』はそれに似たものです(が、同じではありません)。その『常歩』に取り組み始め、3ヶ月が過ぎました(7月末時点)。少しずつ効果が出始めています。走る動作はもちろん、走高跳や走幅跳でも活用し始めています。
 詳しくは、これも『膝の抜き』同様、またの機会にまわしたいと思います。今すぐ知りたい人は、『常歩秘宝館』という『常歩』を考案された方々のホームページを参考にしてください。

 
うですか、大変興味深いことと思いませんか。私のような、『中心軸』で運動してきた者にとっては、今までの常識をひっくり返された『ニ軸動作』理論でした。この魅力に私は引き込まれています。でも、実はこれが世界の常識なのかもしれませんし、すでに取り組んでいる方ももちろんいます。意識しなくても『ニ軸動作』になっている方もいます。しかしまだ日本人の多くのプレーヤーが『中心軸』で動作していることも事実です。
 だから、誰よりも先に皆さんも『ニ軸動作』へ改造することで、一歩進んだ選手になれるかもしれませんね。是非、興味のある人は山本に相談してください。私もまだまだ勉強中です。皆さんそれぞれの感覚を大切にしながら、目標とするパフォーマンスを一緒に目指したいと思います。

  *校内で発行した『桜スポーツ新聞』に、一部修正、加筆を行っています。





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